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人が生きていくうえで欠くことのできない「食べ物」をつくるには、「水」はなくてはならないものです。その水を安定して使えるように、新しく桝谷ダムを造りました。ダムより日野川へ流した水は、八乙女頭首工と松ヶ鼻頭首工の2つの取水施設から地下のパイプラインを通って、田んぼや畑などの農地へ運ばれています。また、工場やみなさんの家の飲み水としても日野川用水の水は使われています。
1.日野川の歴史
(1) 干ばつと洪水
みなさんが住む町を流れる日野川は、普段はゆるやかに流れていますが、お天気が長く続くと干上がったりしました。また大雨になると洪水を起こし「暴れ川」となりました。そのたびに人々は大きな被害に見まわれました。
・干ばつ
特に、日野川やため池の水を頼りにしている農家のみなさんにとって、日照りが続き田んぼが干し上がることは、大きな悩みの種でした。
・洪水
また日野川やその支流の川は、ひとたび洪水になると町や村を一瞬にして飲み込み、田んぼや畑も一面泥の海と化してしまいました。
洪水から田畑を守る岩刎(いわばね)
用水の取り入れ口として適していた越前市向新保町は日野川が流れを変える場所でもあったため、昔は洪水になると堤防が壊れることがしばしばありました。
そこで1694年(元禄7年)から1712年(正徳2年)、鯖江陣屋の幕府代官であった古郡文右衛門(ふるごおりぶんうえもん)は、公費と自分の財産を投じて護岸の工事を行いました。
近くの松ヶ鼻山から大きな石を運び、川底に積み重ねて、12ヶ所もの堤防を築いたそうです。この巨大な岩の群れを岩刎(いわばね)と言い、今も水位が下がるとその一部を見ることができます。
(2) 水争い
日野川から田んぼに水を引くための水路は、500年以上も前から造られました。しかし、干ばつによる被害がしばしば起こり、水争いが絶えませんでした。

2.ダムの4つの役割
桝谷ダムをつくる工事は、平成3年からはじまり平成17年に完成しました。桝谷ダムは福井県内で4番目にたくさんの水をためることができます。
4つの役割
① 新しい農業用水をためる。
もう困らないように水をためます。
② 新しい水道用水をためる。
豊かな生活をするには、水をたくさん使います。そのようなときにも水が不足しないように水をためます。
③ 新しい工業用水をためる。
工場で製品をつくるには水が必要となります。工場を増やすには、今まで以上に水が必要となりますが、不足しないように水をためます。
工場が増えれば、働く場所も増えて生活が豊かになります。
④ 洪水を防ぐ。
平成16年7月の福井豪雨のような大雨が降っても、ダムで水をとめて、日野川の水をあふれさせないようにして洪水を防ぎ、
住む人の命や家を守ります。
“ロックフィルダム”って何?
桝谷ダムはロックフィルダムです。ロックフィルダムとは、土や岩石をもり立てて作るもので、中央にねんどみたいな細かな土をしっかり固めて水をとめ、外側に行くにしたがって、だんだん大きな岩をつみかさね、細かな土がくずれないようになっています。このようなダムは、水や地震に対して強いのです。
ダムの大きさは?
ダムに貯めることのできる水の量は約2,500万トンです。この量は、サンドーム福井の約93倍分になります。
また、ダムの体積は約340万トンです。この体積は、サンドーム福井の約13倍分にあたり、11トンのダンプに乗せると62万台くらいになります。(ダンプを並べると、北海道から九州を通り越して台湾あたりまで並びます。)
3.頭首工ってなに?
頭首工とは川の水をせきとめて、農業用水を用水路やパイプラインに取り入れるためのものです。
日野川用水では2つの頭首工があります。1つめは八乙女頭首工(南越前町八乙女)で水を取り、主幹線用水路を
通って、2つにわかれ、1つは福井市清水地区まで、もう1つは鯖江市片上地区まで用水を流しています。
2つめは松ヶ鼻頭首工(越前市向新保町)で水を取り、中央幹線用水路を通ってハーモニーホールまで用水を流しています。
頭首工の働き
魚道って何?
魚の種類や川の流れのちがいによって、さまざまな魚道が造られます。
どれくらいの水を取り入れることができるの?
八乙女頭首工と松ヶ鼻頭首工あわせて1秒間に約13トンの水を取り入れることができます。この量は、200Lドラム缶で約65本分になり、みなさんの学校のプールが約30秒でいっぱいになります。
4.パイプラインは何をするためのものなの?
また、八乙女頭首工から田んぼまで貼りめぐらされたパイプをつなげると約186kmになります。
今まで、あまりきれいでなかった水を使っていた田んぼへも、日野川のきれいな水が届くようになりました。

5.調整槽って何?
八乙女頭首工から福井市清水地区までの距離は30km以上あります。途中の田んぼで集中して水を使うと、清水地区などの下流域では十分に流れないことがあるため、水がスムーズに届くように調整する調整槽を設けています。
また、農業用水だけではなく、工業用水や水道用水としてみんなが公平に使えるように、水の量を調整しています。
6.分水工って何?
分水工とは、パイプラインの分水点で、公平に水が流れるように調整するための施設です。
7.水管理システムって何?

水管理システムとは
8.上流の方々の協力
干ばつや洪水から田畑や人々を守るために日野川の上流にダムを造ったことで、そこに住んでいた人たちの土地はダムの底になってしまいまいた。また、上流の人々は、下流に住む人々にも公平に水が使えるよう協力して下さいました。
(1) 水没した集落
広野ダムの建設現場には二ツ屋集落が、桝谷ダムが作られた桝谷地区には、大小場集落と田倉俣集落という2つの集落がありました。
ダムの建設により、そこに住んでいた人たちの土地や家はダムの底になってしまいました。木の恵みを受けることができるようになったのも、土地を提供して下さった方々のおかげであることを忘れてはなりません。
(2) 上流の住民の協力によって水を平等に利用
上流の人たちは、下流の人が安心して日野川の水を使えるように、工事の時にはたくさんの協力をしてくれました。
そのおかげで、下流に住む人は安定した水を公平にいつでも使えるようになりました。
今まで日野川から水を取り入れていた取水口は全て閉じ、日野川用水を使う全ての人が平等に、そして多目的に利用できるようになりました。
